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TOBI STUDY | 東美スタディ ・ 今週のアートシーン

#27車が消えた銀座の高架に、13カ国のデザインが上がる

2026年10月27日号 ・ 置き場所が動いた7本 ・ 3分で読める
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今週動いたのは、作品ではなく置き場所だ。30日に開くデザインの祭りは、去年の春まで車が走っていた銀座の高架を主会場にする。31日、太宰府では1800年前の鏡の展覧会が始まり、高校生以下は無料で入れる。同じ日、大阪にはロンドンの大英博物館から江戸の絵が届く。ニューヨークでは、彫刻家が40年使ったパリの仕事場そのものが展覧会の主題になった。発表も二つあった。都内39館がそろって夜に開ける日が決まり、京都・嵐山には百貨店がギャラリーを建てると出た。盛岡の『呪術廻戦』展は、あと2週間で閉じる。

デザイン🇯🇵 東京・銀座(10/30開幕)

自動車専用道路をやめた高架を、5日間だけ歩いて回る

DESIGNART TOKYO 2026が、10月30日(金)から11月8日(日)までひらく。第10回。テーマは「Hibiki」だ。今年のメイン会場「AUTOBAHN」は、銀座の数寄屋橋交差点から銀座一丁目までの高架の上にある。ここは東京高速道路(KK線)で、2025年4月5日(土)20時をもって廃止された(東銀座出口を除く)。車はもう通らない。約60年のあいだ無料の自動車専用道路だった2キロほどの道を、歩行者中心の公共的空間へ作り替える計画が進んでいる。使い終わったインフラを壊さず別の用途に変えるアダプティブ・リユースの、かなり大きな例だ。主催者の発表によれば、ここに世界13カ国から約150組が出展し、マーケットも初めて置く。会場構成は建築デザインスタジオのALTEMY。メイン会場だけは10月30日(金)から11月3日(火・祝)の5日間で、1日券は学生が前売1,000円、一般が前売3,000円。ほかに銀座、六本木、外苑前、表参道、原宿、代官山、池尻など8つの地域に会場が散っていて、場所ごとに開く時間も休みも違う。

💡 道路は、人が立ち止まる前提でつくられていない。細長く、まっすぐで、途中で引き返しにくい。その形に合わせて何を置くか考えるところから、もう仕事が始まっている。

古代🇯🇵 福岡・太宰府(10/31開幕)

卑弥呼がもらった鏡の展覧会に、高校生は無料で入れる

特別展「卑弥呼の鏡 ―三角縁神獣鏡がヤマト王権をつくった―」が、10月31日(土)から2027年1月11日(月・祝)まで九州国立博物館でひらく。鏡は、ただの道具ではなかった。西暦239年、倭の女王・卑弥呼は中国・魏へ使いを送り、皇帝から銅鏡百枚を賜った。博物館の説明によれば、このなかに、各地の古墳から副葬品として出土する三角縁神獣鏡が含まれていたと考えられている。出品されるのは、卑弥呼が使いを送った翌年にあたる240年の年号が入った正始元年銘三角縁神獣鏡(群馬県蟹沢古墳出土、東京国立博物館蔵)や、奈良県富雄丸山古墳で新しく見つかった鏡など。観覧料は一般2,000円、大学生1,200円、高校生以下と18歳未満は無料だ。同じ券で4階の文化交流展も見られる。前売券はない。会期中に会場でだけ売る。休館は月曜日で、11月23日(月・祝)と1月11日(月・祝)は開き、11月24日(火)と12月24日(木)から31日(木)は閉まる。土曜は夜間開館で19時までだ。

💡 1800年前の人は、鏡を配ることで自分の立場を示した。何を見せて誰に渡すかを決める仕事は、いまのデザインの仕事とそんなに離れていない。

江戸絵画🇯🇵 大阪・中之島(10/31開幕)

ロンドンにある江戸の絵の一部が、日本で初めて人前に出る

「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画」が、10月31日(土)から2027年1月31日(日)まで大阪中之島美術館の4階展示室でひらく。里帰りだ。美術館の説明によれば、1753年に創立した大英博物館の日本美術コレクションは4万点。海外にあるものとしては量も質ももっとも充実している、と評されてきた。そこから厳選した江戸時代の屛風・掛軸・絵巻と、歌麿、写楽、北斎、広重ら代表的な8人の浮世絵師による版画が並ぶ。喜多川歌麿の肉筆《文読む遊女》、円山応挙《虎の子渡し図屛風》、葛飾北斎《『万物絵本大全』版下絵》など、日本初出品の作品も入る。版下絵は、版木を彫る前に絵師が描く下絵のことだ。観覧料は高大生1,400円(前売1,200円)、一般2,300円(前売2,100円)。開場は10時から17時、金曜は20時まで。休館は月曜日と11月24日(火)、12月31日(木)、1月1日(金・祝)、1月12日(火)で、11月23日(月・祝)と1月11日(月・祝)は開く。

💡 同じ絵師でも、摺られた版画と筆で描いた一点ものでは見え方が違う。両方がまとめて並ぶ機会は、そう多くない。

彫刻🇺🇸 ニューヨーク(10/25開幕)

彫刻家が40年使った仕事場が、そのまま展覧会の主題になった

ニューヨーク近代美術館(MoMA)で、「Brancusi: The Artist and His Studio」が10月25日(日)に開幕した。2027年2月27日(土)まで、6階のフロア全体を使う。コンスタンティン・ブランクーシは、パリのアンパス・ロンサンにあったアトリエで、1916年から亡くなるまでの40年以上を過ごした。美術館の発表によれば、そこは住む場所であり、仕事をする場所であり、友人や客を迎える場所であり、彫刻を見せる場所でもあった。この環境のなかでブランクーシは、台座と作品の境目、作品とまわりの空間の境目を、意図的にあいまいにしたという。展示にはめったに貸し出されない彫刻のほか、手で彫った家具や台座、フィルム、写真、道具、資料が並ぶ。アトリエ自体は、いまもパリにある。所蔵するポンピドゥー・センターの特別な協力で、この展示は実現した。ゲストキュレーターのアン・アムランドは「ブランクーシは、自分の作品が互いの関係のなかで体験されることを望むとよく言っていた」と述べている。

💡 作品だけを見ても、それがどこで生まれたかは見えない。机の高さ、窓の向き、隣に置いてあったもの。そういうものが形を決めていることがある。

マンガ🇯🇵 岩手・盛岡(11/8閉幕)

『呪術廻戦』の制作過程を見せる展示が、盛岡であと2週間で終わる

芥見下々『呪術廻戦』展 岩手会場が、11月8日(日)で終わる。会場は岩手県立美術館。9月12日(土)に始まり、県立の美術館が2か月近く週刊少年ジャンプの連載作品に展示室を明け渡した形だ。主催者の説明によれば、デジタル手法による創作工程を、作者の解説を交えて公開する。ストーリー、キャラクター、イラストワークがどう生まれ、どう変わっていったかをたどる構成で、主催者はこれを作者の「思考の帳」と呼ぶ。帳といっても紙ではない。デジタルで描いた絵は、線や色がレイヤーに分かれたまま残る。描き終えたあとも、途中の判断がファイルのなかに積まれている。紙の原画とは、見せられるものの種類が違う。前売券は9月11日(金)で売り終えているので、いま行くなら当日券になる。高校生・学生1,600円、小中学生1,000円、一般2,000円。開館は9時30分から18時(最終入場17時30分)、休館は月曜日で、11月2日(月)は開く。

💡 完成した絵だけを見ていると、うまい人は最初からうまかったように見える。直した跡を見せてもらえる機会のほうが、ずっと少ない。

ミュージアム🇯🇵 東京(10/23発表)

都内39の美術館と博物館が、同じ夜にそろって遅くまで開ける

東京都と東京国際文化芸術祭実行委員会が10月23日(金)、「ARTE TOKYO × NIGHT MUSEUM」を11月6日(金)と20日(金)に実施すると発表した。どちらも金曜だ。都内39の美術館・博物館がそろって夜間開館する。24館が両日、9館が6日だけ、6館が20日だけの参加だ。国立新美術館、東京国立博物館、国立西洋美術館、東京都現代美術館、森美術館などが名を連ねる。一部の館では「100万人のクラシックライブ」と組んだミニコンサートがあり、都立の文化施設では「ミニコンサート Museum × Music!」を開く。文化芸術祭ARTE TOKYOの特別企画で、この形での実施は初めてになる。

💡 学校帰りに間に合う時間まで開いている日は、年に何日もない。行きたい館があるなら、日付のほうを先に押さえておくと早い。

アートの場所🇯🇵 京都・嵐山(10/23発表)

百貨店が、嵐山に木造2階建てのギャラリーをつくると発表した

大丸松坂屋百貨店が10月23日(金)、京都・嵐山に「Arashiyama Collective」を開くと発表した。開業は2027年4月。場所は京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町で、木造2階建て。延床は215.39平方メートル(65.15坪)。1階をオープンギャラリー、2階を招待・紹介制の空間として運営する。掲げるのは「共創・継承・越境」の3つで、最初の展覧会には現代美術家の宮島達男を迎える。設計は建築家の石田建太朗が率いるKIAS。ロゴやヴィジュアル・アイデンティティは、香港と東京を拠点とするEight Partnershipが手がけた。百貨店の美術売り場やウェブメディアで作品を扱ってきた会社が、売り場の外に自分の場所をつくる動きだ。

💡 作品をつくる人と同じ数だけ、置く場所をつくる人がいる。建物の設計、ロゴ、見せ方の設計。美術のまわりには、絵を描かない仕事がたくさんある。

今週はここまで。
今週は、置き場所の話ばかりだった。銀座では、車が走らなくなった高架の上に会場ができる。京都では、百貨店が売り場の外に木造2階建ての建物を建てると発表した。ニューヨークでは、彫刻家が40年使ったパリの仕事場そのものが展覧会の主題になっている。盛岡の県立美術館にはジャンプの連載作品が入り、太宰府には1800年前の鏡が集まる。東京では39館が同じ夜に遅くまで開ける。置く場所が変われば、来る人が変わる。来る人が変われば、作品の読まれ方も変わる。描く場所と見せる場所を自分で選べるようになると、できることはもう少し広がる。次号もお楽しみに。
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