Permanent Collection
常設の部屋
Timeline
デザインと人類の5万年
最古の手形からWebまで、視覚表現の歴史を1本の年表にした回廊。 デザイン史のほぼ全部が「右端の数ミリ」で起きたことを、目で確かめる。
- 68,000年 → 600年の2段スケール
- 時代別に全部屋を配置(準備中の部屋も予告)
Cave
洞窟壁画と絵のはじまり
確認されているかぎり、人類最初の作品は壁に吹き付けた手のあとだった。 6万8000年前の手形から、5万1200年前の最古の物語絵画へ——絵のはじまりをさわる。
- 長押しで吹き付ける手形ステンシル
- 松明の灯りで壁画を発見する闇
- 「大昔」の解像度を上げる年代クイズ
Pigment
顔料と色の歴史
チューブ以前、色は鉱物と土と貝だった。10万年前の顔料工房から、 金より高価だった青、描かれた日から始まる劣化との闘いまで——素材から見る美術史。
- 砕いて練る調合台(粒度で色が変わる)
- 色の値段クイズ(フェルメールの青)
- 劣化シミュレータ——戻せる色と戻せない色
First Letters
文字の誕生
文字は世界のあちこちで別々に生まれ、その多くは「絵」だった。会計の帳簿から生まれた最古の文字、 牛の絵からできたA、ロゼッタストーンの解読まで——「困った!」を解決する探検として、文字5000年を手で歩く。
- 会計トークンから最古の文字へ(数える→書く)
- 牛の絵が「A」になる(アルファベットの起源)
- ロゼッタストーンで神聖文字を解読する
Paper & Print
紙と印刷のはじまり
奈良時代、天皇が命じた「お経を100万枚」。手で写す時代から、版木で刷る時代へ。 じぶんの手でこすって刷り、複製のはじまりを体験する。印刷はグーテンベルクよりずっと前、東アジアで始まった。
- ばれんでこすって、お経を刷る(2層の版木)
- ⚡1枚 → 100万枚(百万塔陀羅尼)
- 本物の版木を見る(浮世絵版木・実物写真)
Perspective
遠近法と消失点
中世まで、絵の中の大きさは「えらさ」で決まっていた。消失点の発見が絵を「開いた窓」に変え、 500年後のいまもパースとして生きている。
- 消失点を指でつかまえて動かす(空間がついてくる)
- ブルネレスキの鏡と覗き穴の実験
- 《最後の晩餐》の消失点はキリストの頭
Oil & Glaze
油絵の誕生 — ゆっくり乾く革命
「ファン・エイクが油絵を発明した」は1550年生まれの俗説。最古の油絵はバーミヤンの崖にある。 卵から油へ——「何で練るか」が絵の質感を根こそぎ変えた。
- タップで透明な層を重ねる——グレーズ体験
- 卵テンペラ⇄油彩、同じ球で描き味くらべ
- メトロポリタン所蔵ファン・エイクの実物(CC0)
Letterpress
活版印刷と活字のはじまり
グーテンベルクは文字を組み替えられる部品=活字にした。1本ずつ拾い、組み、 刷り終えればまた解く。知を大量に複製する技術は、この「植字」から始まった。
- 活字とスペースを拾って組む植字体験
- 鏡文字の版を刷ると正しい向きに
- 欧文↔和文(かな)を切り替えて組む
Ukiyo-e
浮世絵と複製
版元・絵師・彫師・摺師——チームで摺る江戸の大量複製メディア。 色版を1枚ずつ重ねて“赤富士”を摺り、そば一杯の値段で買えた“みんなの絵”を体験する。
- 見当を合わせて色版を重ねる多色摺り体験
- 絵師だけでは浮世絵はできない——分業のしくみ
- ゴッホを動かしたジャポニスム
Lithography
リトグラフ(石版画)
木版は彫る。銅版も彫る。リトは描くだけ——油と水の反発で刷る第3の版式〈平版〉が、 画家の線をそのまま複製し、街をポスターに変えた。
- 石に指で描いて刷る(左右反転を体感)
- 貧しい劇作家ゼネフェルダーの発明
- 今日の本もチラシも“リトの子孫”(オフセット)
Photography
写真の発明
カメラ(暗い部屋)は千年前からあった。足りなかったのは像を定着させる化学。 手で摺る複製が、ついに“現実そのもの”の複製になる。
- 銀板に潜像を“現像”して写真を浮かび上がらせる
- 1枚きりのダゲレオタイプ vs 何枚でも焼けるネガ
- 「写す」を手放した絵画は、印象と抽象へ
Gestalt
知覚のきほん
人の目は、点や線を勝手にまとめ・閉じ・切り分ける。 この知覚の6法則こそ、デザインの「並べ方」が意味を生む理由だ。
- 近接スライダーで群が行↔列に変わる
- カニッツァの三角形・ルビンの壺
- 動く点が群になる「共通運命」
Composition
構成のきほん
三原色と幾何学で、デザインを個人の趣味から普遍的な造形言語へ。 カンディンスキーの色彩理論と、モンドリアンの構成。
- 形と色の対応をカンディンスキーと答え合わせ
- モンドリアンの構成を自分の手で組む
- 水平垂直・三原色・非対称の均衡
Grid Systems
グリッドのきほん
ミューラー=ブロックマンが紙面で確立した秩序のシステムを、 Webの可変レイアウトへ。客観性・再現性・タイポグラフィ主導。
- 12カラムのグリッドを可視化トグルで表示
- ベースラインの垂直リズム
- 比率とマージンの設計
Color
色の相互作用
色は単独では決まらない。同じ色が違って見え、違う色が同じに見える。 「色は絶えず人を欺く」——その錯覚を逆手に取る、アルバースの色彩演習。
- 同じ色が背景しだいで2つに見える
- 違う2色を1つに見せる
- 補色の縁が震える/キーラインで鎮める
Ratio
比率のきほん
美しい寸法は偶然でなく数の関係から生まれる。黄金比、フィボナッチ、 そして本の余白を導く「ページ・カノン」。寸法を関係で考える態度。
- 線を分けて黄金比φを探す
- フィボナッチの正方形と黄金螺旋
- 対角線が本文の余白を決める
Pictogram
ピクトグラムのきほん
ことばが読めなくても伝わる「絵ことば」。ノイラートは統計を絵で語り、 アイヒャーは世界を案内した。本質だけを残し、規則で組み立てる。
- 量は数でくり返す(アイソタイプ)
- 水平・垂直・45°の設計グリッド
- 記号の意味を当てるクイズ
Kamon
家紋のきほん
九百年つづく、世界最古級の「ロゴシステム」。円のなか、白と黒、 引き算と回転対称——約2万種の紋を生んだ設計のルールを手で確かめる。
- 円・三角・四角だけの見本帳
- モチーフ×分割数の家紋ジェネレーター
- 三つ鱗・武田菱…紋を読むクイズ
Poster
ポスターの100年
街の壁が最大のメディアだった時代。同じ告知が、様式によってまったく違う顔になる。 ヌーヴォーの曲線からパンクの切り貼りまで、100年の様式史をひと部屋で。
- 同じ告知を5つの時代様式で見比べ
- 構図の「設計の線」を透かして見る
- 様式から年代を当てるクイズ
Dada
ダダと未来派のタイポグラフィ
行儀よく並ぶための活字を、わざと壊した100年前の前衛。 飛び散る文字と騒音の詩——「壊すこと」がデザイン史をつくった瞬間。
- 秩序⇔反乱スライダーで組版を壊す
- クリックで組む「騒音詩」メーカー
- 反乱の文脈を読むクイズ
Op Art
錯視と振動
絵は動いていないのに、目が動きを見てしまう。 ヴァザルリとライリーが白黒の幾何学で起こした「網膜の芸術」。
- うねる縞——画面が泳ぎ出すスライダー
- 陰影ゼロでふくらむ市松模様
- 交差点にまたたく幻の点(ヘルマン格子)
Before Screen
コンピュータの誕生 — 画面以前
スマホの先祖は、一枚の布。柄を織るための穴あきカードが国を数え、真空管18,000本の電気の頭脳になるまで—— 最初の“プログラム”は布の柄だった。
- カードに穴をあけると、織り柄が変わる
- 計算を“提出”して、紙で答えを受け取る
- ENIACと6人の女性プログラマの実機写真
Postmodern
グリッドを壊す
完璧なスイス・グリッドを、本場バーゼルの内側から揺さぶった人たち。 規則を学び切った者だけが、規則を壊せる。
- 破壊度スライダー——スイス→カーソンへ
- メンフィス柄ジェネレーター
- 自由の文脈を読むクイズ
Web & UI
青い下線を、押した日
窓・アイコン・青いリンクは、ぜんぶ発明品。1968年のマウス初公開から、1990年の世界初ウェブページまで—— 画面の中のデザイン史は、まだ60年もない。
- 16×16ピクセルを実寸にする——アイコンの魔法
- 1990年の画面で、青い下線を踏む
- 「曖昧だが、面白い」——世界を変えた走り書き