01
活字を拾って、
組む
植字工は、活字ケースから文字を1本ずつ拾い、左手の組みステッキに並べていく。
拾ってみるとすぐ気づく——活字の面は左右が反転した鏡文字だ。しかも版は刷り上がりの鏡像だから、文字の並ぶ順序も左右が逆。つまり文章の頭が右端にきて、右から左へ組んでいく。刷って左右が反転すると、はじめて左から読める正しい向き・順序になる。文字のあいだや行の余りは、字の入っていない金属のスペース(込め物)で詰める。欧文と和文(かな)、両方の活字ケースで組んでみよう。
活字ケース — 拾う文字をクリック
組みステッキ(版・鏡文字で右から組む)
02
版を、
刷る
組んだ版にインクをのせ、紙を押しあてる。左右が反転していた版は、紙の上で正しい向き・正しい順序になって現れる。
版では文字も並びも左右が逆(右起点)——だから刷ると読める向き・読める順に戻る。背の低いスペースにはインクが乗らないので、そこは白いまま、字間になる。01で組んだ版を、刷ってみよう。
03
組版を、
確かめる
拾って、組んで、刷った。その仕組みを4問で確かめよう。
活版の言葉は、いまのデザインの言葉にそのまま残っている。組みながら気づいたことを思い出してみて。
「文字を、
— ヨハネス・グーテンベルク 活版印刷 1450年頃 / マインツ
組み替えられる
部品にした。」
いまも使う「大文字=upper case/小文字=lower case」は、活字ケースの上段・下段に由来する。 「タイポグラフィ」も、ギリシャ語の「型(typos)」+「書く(graphein)」——活字で書く技術という意味だ。 文字を部品に分け、拾い、組み、また解いて組み直す。この一つひとつの作業のなかに、 字間・行送り・両端揃えといった、いまの組版の考え方がすでに全部そろっている。 その「組む」感覚を、次は「比率のきほん」で、 ページと余白のプロポーションへと広げていこう。
※ この展示は、活版印刷の仕組みを画面上で簡略に再現したシミュレーションです。実際の活字は鉛・アンチモン・錫の合金で、字面・高さ(活字の身長)・込め物の厚みには厳密な規格があり、インクや紙、圧力によって刷り上がりも変わります。本物の活字や刷り見本の質感は、ぜひ印刷博物館や活版工房で確かめてみてください。