01
手を、
残す
絵筆の発明より先に、人類はエアブラシを使っていた。
手を壁に当て、口に含んだ顔料を吹き付ける。手をどけると、そこに「いた」証拠が残る——ネガの手形ステンシル。スラウェシからヨーロッパ、パタゴニアまで、世界中の洞窟に同じ手法の手形が残っている。壁に手を置いて(長押し)、吹き付けてみよう。
02
闇で、
見る
洞窟の絵は、真っ暗闇の中にある。
壁画の多くは洞窟の奥、日光の届かない場所に描かれた。描いた人が持っていたのは、獣脂のランプや松明の小さな灯りだけ。ゆらぐ光の中で、絵は現れては闇に沈む。ライトを動かして、壁画を発見しよう。
03
時間を、
測る
「大昔」の解像度を上げよう。
ラスコーもショーヴェも「大昔の壁画」とひとくくりにされがちだが、その間には2万年近い時間が流れている。絵のはじまりの年表感覚を、4問で。
「絵は、文字より
— 最古の物語絵画 約5万1200年前 / 最古の文字 約5200年前(メソポタミア)
4万年以上早い。」
5万年前の手形と、あなたがさっき壁に吹き付けた手形は、同じ欲求から生まれている—— 「ここにいた」と残すこと。それが絵と、デザインの出発点だ。 そしてラスコーは公開から15年足らず、観客の吐く息で壁画が傷み、1963年に閉鎖された。 描くことと同じくらい、残すことも戦いだということを、絵のはじまりの部屋は教えてくれる。 彼らが使った赤と黄色の正体は——次の部屋「顔料と色の歴史」へ続く。