光そのものを、彫刻にした人がいた
戦後日本で活躍した造形作家・多田美波(1924–2014)の没後初となる大規模回顧展 「多田美波―光、凛と ゆれる」 が、東京都現代美術館で8月29日に開幕する(〜12月6日)。金属やアクリルで光を反射・屈折させる抽象彫刻から、天井や壁そのものを光でデザインした 光造形(照明を造形作品として空間に組み込む手法)まで、約70年の歩みを約70点+スケッチや写真で追う。絵の具や粘土だけが画材ではない——光・反射・空間そのものを“素材”にした仕事だ。
この秋、日本の美術館とまちが一斉に動きだす。六本木にはレオナルド・ダ・ヴィンチの肖像画がはじめて来日し(9月9日〜)、群馬・前橋では“第一回”を名乗る国際芸術祭が9月に産声をあげる。清澄白河では“光そのもの”を彫刻にした作家の回顧展が今週末(8月29日)に開幕、南青山ではアジアのやきもの110点が、10月の白金台にはマリメッコの花柄が待つ。六本木で服のデザイナーがピカソを飾りつけた話題展は今週末以降がラスト、そして台湾の“知られざる近代美術”も上陸する。夏の祭のあとにやってくる、秋の大物7つを3分で。
戦後日本で活躍した造形作家・多田美波(1924–2014)の没後初となる大規模回顧展 「多田美波―光、凛と ゆれる」 が、東京都現代美術館で8月29日に開幕する(〜12月6日)。金属やアクリルで光を反射・屈折させる抽象彫刻から、天井や壁そのものを光でデザインした 光造形(照明を造形作品として空間に組み込む手法)まで、約70年の歩みを約70点+スケッチや写真で追う。絵の具や粘土だけが画材ではない——光・反射・空間そのものを“素材”にした仕事だ。
パリのルーヴル美術館から名品50点余がやってくる 「ルーヴル美術館展 ルネサンス」 が、国立新美術館で9月9日に開幕する(〜12月13日)。目玉は、レオナルド・ダ・ヴィンチの《女性の肖像(美しきフェロニエール)》の 初来日。15〜16世紀ヨーロッパで花開いた ルネサンス の肖像画を代表する一枚で、輪郭を線で囲まず煙のようにぼかす技法 スフマート(sfumato。明暗を溶け合わせて立体感を出すダ・ヴィンチの得意技)が使われている。教科書で見たあの技を、実物の前で確かめられる約3ヶ月。
群馬県前橋市の中心市街地を舞台に、「第一回 前橋国際芸術祭2026」 が9月19日に開幕する(〜12月20日)。テーマは 「めぶく。Where good things grow.」。空き店舗や広場、通りそのものが会場になり、国内外の作家の作品がまちに点在する“第一回”だ。こうした大型の芸術祭では、全体の方向づけと作家選びを担う 芸術監督(アーティスティック・ディレクター=展覧会や芸術祭を総合的に企画・演出する役割)の存在が、色を決める。作品を「作る人」だけでなく、「場をつくる人」の仕事が見えてくる。
根津美術館(南青山)で 「やきもの名品紀行 中国・日本・朝鮮半島」 が10月12日まで開催中。約2,300件におよぶ館蔵の陶磁器から選りすぐった名品110件を、3つの展示室で中国・日本・朝鮮半島とめぐる構成だ。器の表情を大きく左右するのが、表面をおおうガラス質の膜 釉薬(ゆうやく。焼く前に塗り、高温でガラス化して色とツヤを生む)——同じ土でも、この一塗りと火加減で色も質感も変わる。“産地ごとの美意識”を、手のひらサイズの立体で読み比べられる。
フィンランド発のブランド、マリメッコの約10年ぶりの大規模展 「マリメッコ展 模様のちから」 が、東京都庭園美術館で10月3日に開幕する(〜12月20日)。ドレスやファブリック、原画を通して、あの大胆な柄がどう作られ、布や服になって世界に届くまでを見せる。1枚の絵を、布のために“繰り返せる模様”へ設計する仕事が テキスタイルデザイン(布地のための模様・柄のデザイン)だ。イラストが「1枚で完結」しない、その先の職能がまるごと展示になる。
パリ国立ピカソ美術館の所蔵作品に、英国のファッションデザイナー、サー・ポール・スミスが会場構成で応える 「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」 が、国立新美術館で9月21日まで開催中(今週末以降がラスト)。同じピカソでも、壁の色・照明・作品の並べ方——つまり 会場構成(展示空間そのもののデザイン。何をどこにどう見せるかの設計)を変えると、絵の印象は大きく変わる。“飾り方”がもうひとつの作品になる、デザインとアートの掛け算だ。
台湾の近代美術を日本で本格的に紹介する初の大規模展 「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」 が、東京都現代美術館で9月5日に開幕する(〜12月13日)。1930年代の台湾で結成された前衛詩グループ「風車詩社」を描いた映画を起点に、近代台湾の美術約200点+資料に、日本の作品も重ねて展示。西洋だけでなく、同じ時代のアジアにも独自の モダニズム(20世紀前半に各地で花開いた、伝統から離れた新しい表現の運動)が育っていた——その事実を、絵で確かめられる。