マンガやアニメだけじゃない。この夏、現代アートの“五輪”ヴェネチアに日本代表が立ち、日本発のデジタル美術館が世界に増え、広告デザインの世界大会で日本が金を獲った。“美術館の主役”になりつつある日本のアートとデザインを、3分で。
世界で戦う日本人🇮🇹 ヴェネチア
現代アートの“五輪”に、日本代表が立つ
2年に一度ひらかれる現代アートの世界最高峰、ヴェネチア・ビエンナーレ(第61回・5月9日〜11月22日開催中)。国ごとに“代表”が館を持つこのビエンナーレで、今年の日本館代表は荒川ナッシュ医(Ei Arakawa-Nash)だ。1977年、福島県いわき市生まれ。ニューヨーク・ロサンゼルスを拠点に、テート・モダン(2021)や国立新美術館(2024)でも個展を開いてきたパフォーマンス・アーティストで、絵を“自分で描く”のではなく、他者や観客を巻き込んで作品にするのが持ち味。今回の作品『Grass Babies, Moon Babies』は、来場者が208体の赤ちゃん人形を抱いて、柱の間・庭・室内を運ぶインスタレーション。テーマは“ケア(世話し、慈しむこと)”だ。
💡 話せるタネ世界最高峰の舞台で、日本代表は絵を“飾る”のでなく、観客に赤ちゃん人形を“運ばせる”。アートは「見る」から「する」へ。
体験型アート🌐 ハンブルク/シカゴ
日本発の“さわる美術館”が、世界に増えていく
日本のアート集団 teamLab(チームラボ) が、ドイツ・ハンブルクにヨーロッパ初の常設デジタルアート美術館を開く。港の再開発地区ハーフェンシティに生まれる「teamLab Borderless Hamburg」は、天井が12mまで届く建物ぜんぶが作品。人が動くと絵が反応し、部屋から部屋へ作品自体が移動していく。東京・上海に次ぐ大型の常設で、欧州では初だ。さらに9月22日には、米シカゴ大学の美術館でも大型展(〜2027年2月)が開幕する。teamLabは、美術を「静かに見るもの」から「入って、さわって、遊ぶもの」に変えてきた。
💡 話せるタネ日本発の“さわる美術館”が、東京・上海に続いてヨーロッパの定番に。美術館は、静かじゃなくてもいい。
デザイン🇫🇷 カンヌ
広告デザインの世界大会で、日本が金
“広告界のオスカー”と呼ばれる世界最高峰の祭典 カンヌライオンズ2026 で、日本のデザインが高く評価された。電通の『Dear Difference』(ニッカウヰスキー)がデザイン部門で金、“手仕事の質”を競うインダストリー・クラフトでも金・銅を獲得。博報堂も『Craftman Ships』(SHIPS)や『Tigris』で銀に入った。電通はこの大会で計15のライオン(うち金4)を集めている。ロゴ・パッケージ・キャンペーン――「きれいに整える」だけでなく、社会や技術と結びつけて伝える日本の“クラフト”が、世界の土俵で認められた。
💡 話せるタネマンガやアニメだけじゃない。お酒のボトルや広告のデザインでも、日本は世界の頂点で金を獲っている。
ゲーム🌐 ケルン/幕張
ゲームの祭典が、夏の終わりに続く
夏の終わりから秋にかけて、世界のゲームの祭典が続く。8月26日〜、ドイツ・ケルンで世界最大級のゲーム見本市 gamescom。9月24日〜は幕張メッセで 東京ゲームショウ。新作の発表が世界のニュースになる。そしてゲームは、キャラクターデザイン・背景・UI、そして世界観の設計図となる コンセプトアート まで、絵とデザインの技術がまるごと詰まった巨大な仕事場でもある。日本のゲームは、世界で戦う“日本の顔”のひとつだ。
💡 話せるタネ好きなゲームの一枚一枚の絵は、キャラデザイナー・背景・コンセプトアーターが描いている。ゲーム=絵とデザインの、大きな就職先。
写真🇯🇵 東京・渋谷
足元の東京で、“見えなかった”写真家たちに光
世界だけでなく、足元でも。渋谷ヒカリエホールで 「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」(7月4日〜8月26日)が開かれている。1950年代から現在まで、これまで写真史で十分に光が当たってこなかった日本の女性写真家30名・約200点を一望する展覧会。長島有里枝らが名を連ね、海外を巡回してきた国際展の日本版として構成されている。誰の作品を“残し、語りつぐか”で、歴史のかたちは変わる――先週の回廊「文字の誕生」ともつながるテーマだ。
💡 話せるタネ有名な写真家の裏に、光が当たらなかった30人がいる。歴史は「誰を残すか」で作られていく。